本記事では、中小企業の経営者が知っておくべき「中小企業における業務プロセスの課題と改善ポイント」について、DX専門の中小企業診断士がわかりやすく解説いたします。
目次は以下の通りです。
- DXにおける業務課題の位置づけ
- 中小企業における業務プロセスの課題
- 業務改善のポイント
- まとめ
それでは、本編に行きましょう!
1.DXにおける業務課題の位置づけ
DXを進めようと考えている中小企業において、業務課題はどのように位置づけられているのでしょうか?
「企業IT動向調査2023」によると、IT投資で解決したい短期的な経営課題として、多くの企業が「業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)」と回答しています。
DXの目的は企業によって様々ですが、「業務プロセスに関する課題の解決」は、多くの企業にとってDXとは切っても切り離せない関係にあると言えるでしょう。
2.中小企業における業務プロセスの課題
中小企業における業務プロセスの課題にはどのようなものがあるのでしょうか?抱えている課題は企業によって様々ですが、本記事では主な課題を3点挙げます。
①手作業による業務割合の高さ
中小企業では、手書きの書類やスプレッドシート・メモ帳など、手作業による業務の割合が多い傾向にあります。手作業で行われた業務は、業務遂行に時間がかかることはもちろん、人的ミスの発生するリスクも高案るため、業務の生産性を低下させる要因になります。DXを通じた自動化ツールやクラウドサービスの導入により、手作業による業務を極力なくしていくことが求められます。
②業務の不透明性
中小企業では、業務の文書化や情報共有が十分に行われていない傾向にあります。これにより、社員の業務状況や進捗管理が適切になされなかったり、情報共有の不足等が発生し、結果として意思決定が遅れて致命的な問題につながる場合もあります。業務プロセスの見直しやDXを通じた業務のデジタル化により、業務の透明性を高めることが求められます。
③データ管理体制の未整備
中小企業では、データの管理や分析に必要なITツールが十分に整備されていない傾向にあります。これにより、業務の生産性低下や意思決定の遅れ・誤りなどの問題が発生することがあります。DXツールの導入を通じてデータ収集可能なインフラを整備した上で、データ分析により業務改善や各種意思決定につなげていくことが求められます。
3.業務改善のポイント
業務プロセスの課題解決を目的に業務改善を効果的に進めるためには、以下のポイントを意識しましょう。
①業務プロセスの見直し
業務改善の第一歩は、現状の業務プロセスを見直すことです。現状の業務プロセスを分析して、業務上の「ムダ(無駄な動作や作業)・ムリ(能力を超えた無理な作業)・ムラ(品質が不安定な作業)」な作業を洗い出し、1つ1つ改善の方法があるかどうかを検討・判断しましょう。業務プロセスの見直しによって、作業の効率化や品質向上が期待できます。
②DXツールの導入
DXツールの導入が業務改善の近道となる場合も非常に多いです。例えば、DXツールの導入により、在庫管理や経費管理、給与管理などのバックオフィス業務をデジタル化することで、業務効率を大幅に高めることが可能になります。また、フロントオフィス業務においても、DXを通じた顧客管理や営業管理のデジタル化により、社内の情報共有を促進し、意思決定の迅速化につなげることができます。
③スタッフの教育・研修
業務改善を進めるためには、スタッフの教育・研修も重要です。作業効率化や品質向上のために、スタッフのスキルアップが必要になる場合も多いです。スタッフが業務を正しく理解し、適切な方法で行えるように、積極的に研修やトレーニングを実施しましょう。
④データの分析
業務改善を進めるためには、データの分析が必要となります。例えば、売上データや生産性のデータを分析することで、業務プロセスの問題となる個所を見つけ出すことができます。データは客観的な事実情報となるため、社内の関係者の納得感を得る上で有用な情報となり、結果として業務改善を促進できます。
⑤PDCAサイクルの導入
業務改善は一度行ったら終わりという取組ではありません。PDCAサイクルを導入し、定期的な改善を行うことが重要です。PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを繰り返すことで、業務プロセスを改善していく方法です。PDCAサイクルを通じて業務プロセスの改善点を洗い出し、改善策を立案して実行し、その結果を評価してさらなる改善を行っていく。このプロセスを継続して回していくことで、業務の持続的な改善が可能となります。
4.まとめ
- DXを推進している企業においてて、「業務プロセスの課題解決」は重要度が高い
- 中小企業における主な業務プロセスの課題としては、「①手作業による業務割合の高さ」「②業務の不透明性」「③データ管理体制の未整備」が挙げられる
- 業務改善のポイントとしては、「①業務プロセスの見直し」「②DXツールの導入」「③社員の教育・研修」「④データの分析」「⑤PDCAサイクルによる継続的改善」がある。
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