IT導入補助金2024の概要
IT導入補助金2024は、中小企業や小規模事業者がデジタル化を進める際の経済的負担を軽減し、生産性向上を図ることを目的とした制度です。この補助金は、「通常枠」と特定の機能要件を満たす「インボイス対応類型」など、複数の枠組みで構成されています。交付申請の受付は2024年2月16日から開始されております。
申請プロセスには、gBizIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言など、特定の手続きが必要であり、申請者はこれらの条件を満たす必要があります。また、IT導入支援事業者と連携し、補助金の申請から実施、事業実績報告までの一連の流れを遵守することが求められます。
この制度は、中小企業や小規模事業者が直面するデジタル化の障壁を低減し、競争力のあるビジネス環境の構築を支援することを目的としています。補助金を活用することで、ITツールの導入による業務効率化や、新たなビジネス機会の創出につながることが期待されています。
交付申請の進め方 8ステップ
ここでは申請件数の大半を占める通常枠とインボイス対応類型の申請に限定して説明していきます。
ステップ1:生産性向上に加え、相乗効果がはたらくITツールを選定する。
ITツールの選定では、単一部門の生産性向上にとどまらず、企業全体の生産性を向上させ、事業成長を促進するという全体最適化の視点で選定することが重要となります。例えば、特定の部門にITツールを導入して得られるデータを、他の部門のシステムと連携させる計画は、全社的な生産性向上目指す取り組みであると評価され、採択されやすくなります。具体的に、通常枠とインボイス対応類型において、ITツール選定時のポイントを以下に記します。
<通常枠>
- 自社の経営課題を深く理解し、経営改善に向けた明確な問題意識を持って選定されているか。
- 導入されるITツールが、自社の現状分析や将来計画、そして特定された課題に対してどのような改善効果をもたらすか、そのマッチングが適切であるか。
- 内部プロセスの高度化や効率化を図り、社内でのデータ連携による横断的な情報共有・分析を可能にし、継続的な生産性の向上と事業成長を目指しているか。
<インボイス対応類型>
- 自社の経営課題を深く理解し、経営改善に向けた明確な問題意識を持って選定されているか。
- インボイス制度への対応はもちろん、それを通じて生産性の向上にも寄与する効果的なITツールを選定されているか。
ステップ2:ITツールの導入を支援するITベンダーを選定し、パートナーシップを組む。
ITツールの選定を完了した後、補助金申請プロセスを共に進めるITベンダーを選定し、パートナシップを組むことは重要なステップです。ITベンダーは下記サイトから検索することができます。ITベンダーの選定にあたっては、提案力、サポート体制、導入後のフォローアップ、価格の透明性を重視しすることに加え、補助金申請サポートの具体的な内容を確認しておくことが重要となってきます。申請時における留意点、申請内容のアドバイス、入力内容のチェック等をしてくれるITベンダーを選定することで、採択率をグンと高めることができます。もし、補助金申請サポートをしてくれるITベンダーが見つからない場合、弊社にお気軽にご相談ください。
ステップ3:「gBizIDプライム」アカウントを取得する。
IT導入補助金2024への申請プロセスをスタートする上で、まず最初にやることが「gBizIDプライム」アカウントの取得になります。このアカウント(ID、パスワード)を取得することで、補助金申請のための電子申請システム「申請マイページ」へのログインが可能となり、交付申請が可能となります。「gBizIDプライム」アカウントを取得するには、必要な書類の準備と郵送が必要で、アカウントIDの発行までおおむね2週間を要します。詳細は以下を参照してください。尚、ステップ4の「交付申請の期日」に影響が及ぶ可能性があるため、速やかに手続きを行いましょう。
ステップ4:ITベンダーと連携して、交付申請の期日を決める。
ITベンダーと連携してITツールの導入時期を設定し、そこから逆算して公開されている交付申請スケジュールに沿って交付申請期日を決定しましょう。補助金の交付決定(採択・不採択の発表)は交付申請から約1ヶ月後となり、実際にITツール導入の契約・実施・支払いを行うのは交付決定後となります。更に、補助金の受領は、ITツール導入後の実績報告が承認された後(実績報告後の約2ヶ月後)になります。(下図参照)このプロセスを理解し、計画的に申請を進めることが重要になってきます。
ステップ5:申請時に必要な書類を取得する。
法人、および、個人事業主が交付申請するにあたり必要な書類を以下に記します。(交付申請の手引きより抜粋)
必要書類は、申請マイページでファイル添付しますので、書類取得後は紙媒体をpdfファイル形式に変換してください。
ステップ6:交付申請を行うまでに必要な手続きを行う。
以下の2つの手続きを済ませた上で、交付申請を行ってください。尚、みらデジ経営チェックは、通常枠の申請において必須となり、インボイス類型の申請においては加点項目となります。
1.SECURITY ACTIONの「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」の宣言をする。
交付申請においては、「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」の宣言が要件となります。
「SECURITY ACTION」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度になります。本補助事業では、「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」の宣言を要件とし、交付申請作成時に宣言済アカウントID(4で始まる半角数字11桁の数列)の入力が求められます。「★ 一つ星」の宣言であれば、15分くらいで実施できます。
2.みらデジ経営チェックを行う。
「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートするポータルサイトです。「みらデジ経営チェック」は、経営課題解決に向けた”気づき”につながるチェックツールという位置づけになります。PC・スマホから簡単な設問に回答することで、同業他社と比較した経営課題の状況やデジタル化の進捗度などを把握することができます。またその結果をもとに、「みらデジリモート相談」において専門家へ無料で相談を受けることもできます。
本補助事業では、IT導入補助金の申請に用いているgBizIDプライムを利用して、みらデジ事業者登録を行ったうえで、みらデジ経営チェックを実施することを求めています。必ず下記リンクに記載された手順を確認したうえで、みらデジ事業者マイページにて、gBizID連携が完了していること、経営チェック結果が表示されていることを必ず確認してください。
ステップ7:交付申請の重要入力項目を作成する。
以下の重要項目は、交付決定に大きく影響を及ぼすため、事前に作成しておくことを推奨します。
1.事業内容(255文字以内でのフリー入力)
ここでは、自社の事業概要を説明し、今回の補助事業で導入するITツールをどのように活用するのかを具体的に記載してください。特にステップ1で記した各枠での選定時のポイントを盛り込んで、生産性向上および相乗効果がはたらくことをアピールしてください。
2.【通常枠のみ対象】労働生産性3ヶ年計画と、給与支給総額3ヶ年計画をまとめる
ここでは、上記の事業内容で記したITツール導入の効果を鑑みて、労働生産性と給与支給総額の3ヶ年計画を策定します。
労働生産性の3ヶ年計画は、下図を参考にして計画数値を作成してください。尚、入力はITベンダーが行いますので、ITベンダーと連携して作成してください。特に、年平均成長率は、1年後に労働生産性を3%以上にする必要があります。 加えて、3年間の事業計画において、労働生産性を年平均成長率3%以上にする必要があります。 (但し、IT導入補助金2021~2023で交付決定を受けた事業者は、上記の「3%」を「4%」にして計画を策定する必要があります。詳しくは、通常枠の公募要領を参照ください。)
給与支給総額の3ヶ年計画は、下図を参考にして計画数値を作成してください。特に以下の点に留意して作成ください。
- 事業計画期間において、給与支給総額 を年平均 成長率 1.5%以上 向上 させること。ただし、被用者保険の適用拡大 の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年平均 成長率 1%以上 向上 させること。
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
※給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬 等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいう。
ステップ8:申請マイページから入力を行い交付申請を提出する。
IT導入補助金では、交付決定の結果、不採択となってもその理由を教えてくれません。たとえ申請入力時のケアレスミスだったとしても、手引き等で調べないとミスを検知できません。従いまして、「交付申請の手引き」に沿って一つ一つ確認しながら申請手続きを進めるようにしてください。
以上となります。
IT導入補助金は、他の補助金に比べ申請の手間が少なく狙い目の補助金なので、是非ともご活用ください。
最後に、IT導入補助金2023の記事になりますが、以下の記事も参考にして頂ける幸いです。