本記事では、中小企業の経営者が知っておくべき「経営とITの関係」について、DX専門の中小企業診断士がわかりやすく解説いたします。
DXを推進する上では、どのようなITツールを導入するかがポイントになる場合があります。とはいえ、クラウドサービスも含め、世の中には数多くのITツールが存在します。中小企業がDXを成功に導くために、どのようにITツールを選べばよいのでしょうか?
よくありがちな失敗例としては、「当初はなんとなくよさそうだと思って導入したITツールだったが、活用するどころか社内の誰も利用すらしなくなってしまい、不良資産化してしまっている」というケースです。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
ここで論点となるのは、
ITツールを導入する前の検討段階で、ITツールの「導入目的」と「経営に対する期待効果」を明確にしたのか?
ということです。
以下の図をご覧ください。以下の図は、「経営」と「業務プロセス」と「ITツール」の関係を示しています。
この図が表している原理原則は、以下の2点です。
・原理原則①:経営は業務プロセスを通じた業務の結果として成立する
・原理原則②:業務プロセスとITツールは密接不可分な関係にある
補足します。
原理原則①については、企業の経営というものは、従業員が業務を遂行した結果(成果)として成り立つものであり、その業務は業務プロセスを通じて行われます。したがって、経営は業務プロセスを通じた業務の成果として成立すると言えます。
原理原則②については、昨今はデジタル技術の急速な発達により、(企業によって状況は異なりますが)かつては紙中心で行われていた業務の多くがデジタル化されてきています。このような社会環境の変化を踏まえると、企業の業務プロセスはITツールとは切っても切り離せない関係にあると言えます。
以上の2つの原理原則を踏まえると、ITツールを導入する際の重要なポイントが明らかになります。
もし、ITツール導入を通じて経営に対して高い効果を得たいのであれば、
経営課題を明確化した上で、その原因となっている業務プロセス上の課題を特定し、特定したその業務プロセス上の課題解決に資するITツールを導入する必要がある
ということです。
至極当たり前のことのように感じるかもしれませんが、この原理原則を踏まえてITツール導入をしている中小企業は非常に少ない印象です。
- 社長の独断でITツールを導入したが、社員はその導入メリットや活用方法がわからないため、何をすればよいかわからない
- 社内で発言力の大きい人が「このITツールは絶対入れた方が会社のためになる」と言い張るので導入したが、具体的な運用方法が決まっていないため、そのITツールを誰も利用していない
- 特定の部門の責任者が自部門の課題解決だけを目的にITツールを導入したことで、他部門の業務が以前より煩雑になり、全社レベルでの業務の生産性はむしろ低下した
このような話は、中小企業においてはよく聞く話です。
新しいITツールやデジタル技術をリサーチし、その導入検討を積極的に進めること自体が悪いわけではありません。DX化が進んでいない中小企業においては、むしろ積極的にデジタル化を進めるべきでしょう。むしろここで私が問題としたいのは、ITツールの導入目的や期待効果について、ITツールの利用者への説明や合意形成なしに進めてしまうことです。
ITツールは所詮ツールであり、単なる手段です。それを活かすも無駄にするも、最終的にはそれを利活用する社員(=人)なのです。その意味で、ITツールの利用者に対する導入目的の説明や合意形成もせず、最新のITツールを導入したら自ずと期待した成果が出るなどということはあり得ないということを肝に銘じておくべきでしょう。
どのようなITツールを選定・導入するかは確かに大事なことです。
しかしそれ以上に大事なのは、「ITツールを活用して自社をどのように変えていきたいのか?」ということについて、経営層から一般社員まで全員で共通認識を持つことなのです。
弊社では、DX戦略の立案からDXツールの導入、導入後の業務定着化フォローまで、ワンストップで対応しています。また、弊社は補助金申請支援も行っておりますので、DXに活用できる補助金をご紹介させていただきながら、投資金額を抑えたDX化のご提案が可能です。
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